お疲れ様です!
たなかです。
今回はPJNO2020(ポケモンジャパンナショナルオンライン2020)でTOP8まで進出する事が出来た構築の記事を書いていこうと思います。
1.PJNOとは
2020年はコロナウイルスの影響でポケモンWCSとJCSが中止になりました。
そのためJCSの出場権をかけたインターネット予選として行われたINC大会(International Challenge)の上位入賞者は行き場を失ってしまったのですが、そんな目標を失った人々を救うため有志の方々にご尽力頂き、非公式オンライン全国大会としてPJNOは開催されました。
詳しくは下記のサイトをご覧ください。
僕は2月に行われたINCで2位に入ることが出来たため、今回の大会に出場する権利をもらう事が出来ました。
結果は予選スイスドローを6勝1敗で6位通過(92人中)。決勝トーナメントで2勝して、最終TOP8の成績を残せました。
こういった大きな大会に出場する事は初めてだったので右も左も分からない状況の中での戦いでしたが、自分が一番自信のある構築で自分のポケモンを信じて戦った結果、TOP8という好結果を残すことが出来たのかなと考えてます。
2.構築を作るまで
環境下での最強ポケモン
みなさんはポケモンVGC2020環境での最強ポケモンはどのポケモンだと思いますか?
ドラパルトですか?バンギラスですか?エースバーンですか?
色々な人の色々な考えがあると思うので正解はありませんが、僕が思うこの環境での最強ポケモンはサマヨールだと思います。
ポケモン剣盾環境はダイマックスという仕様により、色々なポケモンの色々な型に可能性がある環境だと思います。
そのような環境だからこそダイマックスをしないポケモンが非常に重要であり、ダイマックスをしないポケモンを最大限に活かせるかどうかが勝負の分かれ目になると考えてました。
サマヨールの優位性は大きく分けて3つ。
1.相手のポケモンの型を判別できる「おみとおし」という特性。
2.「しんかのきせき」を持たせる事による圧倒的な高耐久。
3.ナイトヘッドなど相手を確実に削る技や、トリックルームやサイドチェンジなど味方をサポート出来る有用な技の数々。
このポケモンがいる構築といない構築では、パーティーの安定感が段違いだと思っています。
【1】以上よりパーティの根幹はサマヨールから組もうと決めました。
サマヨールの型決め
僕は2月のINC大会でドラパルトのじゃくてんほけん発動要因としてサマヨールを使用していました。
この頃の環境でサマヨールを採用した構築は少なく情報もあまりなかったため、自分の知識の中でサマヨールの型を考察しました。
僕が考えたサマヨールの役割として、かげうちを味方のドラパルトに打ってじゃくてんほけんを発動させた後は、サイドチェンジを使って味方の攻撃を引き受けて倒される事が仕事。言葉は悪いですが「座布団」のような扱いをしていました。
しかし2月のINC大会で1位だったカ・エールさんの構築記事を読んでいると衝撃が走りました!
カ・エールさんもサマヨールをキーポケモンとして採用していました。
しかしサマヨールが耐久を活かして相手の攻撃を引き受ける役割はありますが、いたみわけを使いながら回復して盤面に残り続けて活躍する、まさに「高級クッション」(これでも言葉悪くすみません)のような役割だったのです。
正直言ってこのサマヨールの技構成や、Twitch放送で見るカ・エールさんの立ち回りは目から鱗が落ちるばかりでした。
ところで、VGC2020の環境は高耐久で相手を積ませ切るポケモンが強いと感じています。
「やどりぎのたね」と「てっぺき」を採用したナットレイが大流行した事も記憶に新しいですよね。
ただそういったポケモンはハマれば強いけど、弱点技であっけなく倒されてしまう事も多いため、対策されてしまえば怖いポケモンではないと思います。
サマヨールに関してもその圧倒的な耐久力を活かして「ナイトヘッド」や「いたみわけ」で相手を確実に削りながら回復していく事で相手を積ませ切る事が出来るポケモンですが、高火力ダイマックス技による集中攻撃はさすがに耐えきれません。
そこでどうするか…。
2月のINC大会の後は6月に行われるJCSまで時間があったので、僕はサマヨールをより活かして、もっともっと弾力のある「超高級クッション」(本当に言葉悪くすみません…)に出来るような構築を作りたいと思いランクバトルもそこそこにずっとサマヨールの研究をしてきました。
その研究成果の結論が今回の構築となります。
3.構築経緯
サマヨールの耐久を上げる
今回の構築のコンセプトは「サマヨールの耐久を上げて相手を詰ませる」です。
サマヨールは高耐久が非常に魅力なポケモンですが、 自身の耐久を更に上げるような技は「おにび」くらいしか覚えません。
これだけ環境にサマヨールが増えてしまうと、だいたいの構築はサマヨールを倒しきるために悪や霊の強力な技を組み込んでおり、いくら高耐久のサマヨールでも押し切られる事は少なくありません。
そんなサマヨールの耐久を上げられたら…それこそ誰にも倒せなくなると思いませんか?
最高のバフ要因とデバフ要因
サマヨールの耐久を上げる手段は大きく分けて2つあると思います。
A.隣のダイマックスポケモンのダイスチルやダイアースでバフ効果を得て耐久を上げる
B.相手にデバフ効果を与えたり、おにびで火力を削いで相対的に耐久を上げる
どちらの手段もサマヨールを活かす上では非常に強力だと思います。そのため今回の構築はどちらのプランも取り入れる事にしました。
【2】バフ効果のあるダイスチルとダイアースをタイプ一致で打てるドリュウズの採用。
【3】特性いかくや「すてゼリフ」でデバフを捲けるガオガエンの採用。
サマヨールを更に活かす構築要員
メインコンセプトであるサマヨールの耐久を上げる事と、そのためのバフ役とデバフ役は決まったため、今度はその3体のポケモンを活かす事を考えます。
まずサマヨールは素早さが遅いポケモンであることから、トリックルームを展開して相手の上から「ナイトヘッド」や「いたみわけ」で削りを入れることが強い事は明白でした。
ただ相手視点からするとトリックルームを張られたくないと考える事は必然なため、サマヨールがトリックルームを張る事をサポートできるポケモンが必要です。
【4】サマヨールのトリックルームを最大限にサポート出来る「このゆびとまれ」を覚えるトゲキッスを採用。
次に遅い素早さを活かしてトリックルーム下で暴れられる物理アタッカーが必要だと考えました。
【5】高火力を出せる物理アタッカーでドリュウズのすなかき発動サポートも出来るポケモンとしてギガイアスを採用。
なぜバンギラスではなくギガイアスなのかは後述します。
さて、ここまで採用したポケモンでは水技を半減以下で受けられるポケモンが一体もいません。環境にはミロカロスやアシレーヌなど強力な水技を使うポケモンの採用率が高いため、水ポケモン対策はパーティに必ず必要だと考えました。
また打点が物理に偏り気味だったため、特殊アタッカーも必要じゃないかと考えました。
【6】特性よびみずで水技を吸えて、広い技範囲が使える特殊アタッカーとしてトリトドンを採用。
これで今回の構築の6匹のポケモンが決まりました。
4.個別解説
サマヨール
特性:おみとおし
持ち物:しんかのきせき
性格:のんき
実数値:147-×-190-80-160-27
努力値:252-0-180-0-76-0
個体値:31-×-31-31-31-0
技構成:ナイトヘッド / いたみわけ / くろいきり / トリックルーム
今回の構築の主役であり一番の勝ち筋となり得るポケモン。
相手の攻撃を受けながらトリックルームを張る事で、「いたみわけ」を先制して相手を削りながら自分のHPを回復する事が出来ます。隣に並べた全体技を使えるトリルエースと一緒に相手を削り切る事が目標です。
ドリュウズやトリトドンのダイマックス技のバフ効果で耐久を上げたり、ガオガエンのデバフ効果で相手の火力を下げることが出来たら、このポケモンを倒しきる事はなかなか難しくなります。
耐久調整はバフやデバフをかける事を前提とした構築となるため余り意識してませんが、いのちのたま持ちA177ドラパルトのダイホロウは余裕を持って耐えられるHBだけ確保しました。
ドリュウズ
特性:すなかき
持ち物:じゃくてんほけん
性格:ようき
実数値:186-166-100-×-87-154
努力値:4-84-156-0-12-252
個体値:31-31-31-×-31-31
技構成:アイアンヘッド / 10万ばりき / いわなだれ / まもる
ダイマックスしてサマヨールの耐久を上げる事を主目的としたポケモン。
そのため少しでもダイマックス技を打つ回数を増やせるように耐久に振りました。相手がじゃくてんほけんを発動させてくれれば火力も出せますが、このポケモンのダイマックスで相手を1体でも倒せれば、あとは周りのポケモンで相手を倒しきれます。
AはH191B128トゲキッスまではダイスチルで確定で落とせる火力です。Sは相手よりも先にダイマックス技を打てるように最速。HBはドリュウズのダブルダメージじしんを98.6%で2耐え。もう少しだけHに振りたかったのですが、火力もこれ以上は落とせないと思いこの数値に落ち着きました。
技構成はバフ効果が強力な鋼技と地面技を確定で採用。じしんではなく10万ばりきなのは隣に浮いているポケモン(トゲキッス)がいる機会が少ないため。いわなだれはギガイアスがいなくてもすばやさを上げたい場面でダイロックとして使うのと、リリバの実を持ったトゲキッスに打点を持つため採用。
ギガイアス
特性:すなおこし
持ち物:こだわりハチマキ
性格:ゆうかん
実数値:191-201-150-×-106-28
努力値:244-220-0-0-44-0
個体値:31-31-31-×-31-4
技構成:いわなだれ / ばかぢから / じごくづき / だいばくはつ
トリックルーム下でタイプ一致の強力な全体技を打つことでサマヨールのナイトヘッド圏内に入れることが目的のポケモン。バンギラスを1撃で倒す役割も必要だったため、こだわりハチマキを持たせてばかぢからを採用しました。じごくづきはダイマックスした際に打つ技、隣にトリトドンを並べてトリックルーム下でダイアークビートが非常に強力です。だいばくはつは不利な状況下で残数有利を取りたい際に打ちますが、正直あまり使いません。
すばやさはあえて個体値4で採用する事で、実数値が28となりトリックルーム下で最遅サマヨールの次に動くことが出来ます。バンドリに対してばかぢからを連打したい場面も多いため、サマヨールのくろいきり⇒ギガイアスのばかぢからの動きは非常に強力でした。またすばやさ実数値が29になってしまうと、くろいてっきゅう持ちアシレーヌと同速となってしまうため、すばやさ実数値28はサマヨールと一緒に採用するギガイアスのすばやさ調整として必須条件だと思います。
ガオガエン
特性:いかく
持ち物:フィラのみ
性格:ゆうかん
実数値:201-159-118-×-126-58
努力値:244-76-60-0-124-0
個体値:31-31-31-×-31-0
技構成:フレアドライブ / うっぷんばらし / すてゼリフ / ねこだまし
特性いかくや「すてゼリフ」で相手にデバフを捲くのが主な仕事です。
今回の環境下ではフシギバナやゴリランダーなど草タイプを採用したパーティが多いため、フレアドライブの火力を高めるために攻撃にもかなり配分を割いてます。
HBはA特化ダイマックスバンギラスのダイロックをいかく込み確定耐えまで振りました。HDはC特化ダイマックスフシギバナのダイアース確定耐え。色々な攻撃をピンチベリー発動ラインで耐えてくれて、すごく良い耐久調整だったなと思います。
うっぷんばらしは鎧島での教え技として解禁されたため、試しに採用しました。一度もやりませんでしたが、次に紹介するトゲキッスが覚えているマジカルフレイムのデバフを利用したギミックで瞬間火力を出す事も検討していました。
トゲキッス
特性:きょううん
持ち物:ラムのみ
性格:れいせい
実数値:191-×-131-173-135-76
努力値:244-0-124-140-0-0
個体値:31-×-31-31-31-0
技構成:マジカルシャイン / マジカルフレイム / このゆびとまれ / まもる
このゆびとまれでサポート、マジカルシャインでの削り、マジカルフレイムでのデバフ、トリル下でのダイマックスエースなど、自慢の万能型最遅トゲキッスです。
この構築の催眠対策はこのポケモンしかいないので、相手の構築に催眠技を打ちそうなポケモンがいたら積極的に選出していきます。
サマヨールのトリックルームをサポートした後、腐らずに上から全体技で削れるのは本当にえらいです。
最遅にしているのはナットレイのジャイロボールの威力を抑える意味もあります。S22ナットレイであればジャイロボールの威力は75、A160ナットレイでもダメージは104~126と余裕を持って耐えて返しのマジカルフレイムで大ダメージを与えることが出来ます。
トリトドン
特性:よびみず
持ち物:いのちのたま
性格:れいせい
実数値:199-×-106-158-104-39
努力値:100-0-140-252-12-0
個体値:31-×-31-31-31-0
技構成:だくりゅう / だいちのちから / れいとうビーム / まもる
水技の通りが良いパーティを守るための採用ですが、トリックルーム下でダイマックスエースとして働けるように火力は最大限まで高めてます。
今の環境下はトリトドンの技で弱点を突けるポケモンが非常に多いです。実際に今回のPJNOで対戦したほとんどの構築に刺さっているポケモンだと感じました。
選出してダイマックスさせれば相手の弱点を的確に突いて倒してくれますし、選出しなくても相手は簡単に水技を打てないため相手の行動を制限する事が出来ます。また相手の構築に草タイプポケモンがいる場合は選出してくる可能性が高まるため、出てきた草タイプポケモンをトゲキッスやガオガエンで倒すことが出来ます。
他にはダイアースでサマヨールの耐久を高める事も出来ます。そういった意味でも非常にパーティとシナジーのあるポケモンだと思います。
5.選出
【基本選出】
先発:ドリュウズ + サマヨール
後発:ガオガエン + @(刺さっているポケモン)
初手ドリュウズでダイマックスを切り、隣のサマヨールの耐久を上げていきます。
ただこの構築を見て対戦相手はサマヨールを優先的に倒したりちょうはつ等で行動を止めに来るため、ガオガエンに交換してサマヨールは温存する事も視野に入れていきます。
タイミングの良いところでガオガエンをサマヨールに戻してドリュウズのダイマックス技でサマヨールの耐久を上げた頃には相手にサマヨールを止める手段がなくなっている事が理想的な展開です。
ドリュウズのダイマックスが終わった後はサマヨールでトリックルームして、後発のトリックルームエースの全体技で大暴れします。最終的には耐久を上げたサマヨールで詰めていく事を狙っていきます。
【対晴れパ】
先発:サマヨール + ガオガエンorトゲキッス
後発:ギガイアス + @(刺さっているポケモン)
晴れパと言っても色々な構築がありますが、ほとんどの晴れパに対してはギガイアスが有利を取れます。トリックルームを張ってから、ギガイアスをダイマックスさせて先行でダイロックを使用する事で常にすなあらし状態を維持できて相手は崩壊します。晴れパで高確率で採用されている草タイプポケモンに対してはガオガエンも重要なアタッカーになるため、大事に扱って的確にフレアドライブで倒す事も心掛けて立ち回ります。
【対ドラパルト軸】
先発:トゲキッス + サマヨール
後発:ガオガエン + @(刺さっているポケモン)
ドラパルト軸は物理型か特殊型か分かりづらく、手助けなど絡めてサマヨールを上から一撃で倒す手段があるため難しい相手です。
相手のドラパルトが先発で出てきたらトゲキッスをダイマックスさせてドラパルト方向にダイフェアリーを打ちます。相手のドラパルトはサマヨールのトリックルームを止めたいはずです。ダイホロウをサマヨール方向に打ってきている可能性が高いためサマヨールはガオガエンに交代して半減で受けます。
ここまで想定した通りの展開であれば、次にドラパルトはトゲキッス方向に攻撃をしてくる可能性が高いため、トゲキッスはダイウォールしてガオガエンの攻撃でドラパルトを倒す事を狙います。
ドラパルトさえ倒してしまえば後はサマヨールでトリックルームして、トリルエースで大暴れします。
6.なぜバンギラスではなくギガイアス?
なぜバンギラスではなくギガイアスを採用したかの理由ですが、3つあります。
①トリックルームエースとして採用するバンギラスの一番強い持ち物だと考えているじゃくてんほけんがドリュウズで埋まっている。
②トリックルーム下でくろいてっきゅう持ちアシレーヌやブリムオンに対して追加効果が優秀ないわなだれを先制で打ちたい。
③バンギラスは対策されていてダイマックスしても一撃で倒される手段を持つ構築が多い(まさにこの構築のギガイアス)。
特に③に関してですが、ダイマックスポケモンを一撃で倒されるディスアドバンテージが余りにも大きいため、バンギラスを採用しなかった大きな理由でした。
7.まとめ
今回の構築はBo3で戦うPJNOでTOP8という結果を出せましたが、実はBo1のランクバトルでも強い構築です。シーズン6でも最後の2日間で使用し、14勝1敗で最終72位にてシーズンを終える事が出来ました。
その後、御三家ポケモンの夢特性解禁や鎧島の教え技解禁などあったため技構成自体は少しいじりましたが、ポケモンの並びは変わりませんでした。
どのポケモンも耐久に厚く振った調整をしており、基本コンセプトの耐久バフ&デバフで安定した戦い方が出来ることがここまで勝つことが出来た理由なんじゃないかなと考えてます。
7月からは今までの環境にいなかったポケモンが解禁されるため、環境が激変する事が予想されます。そのためこの構築は今後通用しなくなってしまいますが、今回の構築で得た経験は僕にとって大きな自信になりました。
8月にはポケモン日本一決定戦が行わるため、今回の大会以上に良い結果を残せるよう頑張っていきたいと思います!